ライブハウスの楽屋で、私より年上の方と一緒になることは少ない。
28歳です、と言えば『え〜!ぜんぜん見えないですぅ〜』と言われる。その度に、複雑な気持ちになる。
28歳に見えると何か不都合があるんだろうか。まぁ、あるんだろう。
相手に変な気を遣わせてしまっている気もしてこちらもちょっと申し訳なくなる。
楽屋で本番直前までガールズトークをかましていた20歳の女の子は、ステージでもガールズトークの延長線のような曲を、素晴らしい歌とギターテクで堂々と披露していた。
私はと言えば、本番前は正気でいるのが精一杯で、手のひらに人を3回書いては舐めてみたり直前までギターを触ってみたり、ライブの度に落ち着きのない28歳の醜態をかまし続けている。
ステージでは練習通りにはいかないことがほとんどだ。練習では一回もミスらないところを敢えてミスってしまってナンデヤネン、、、という予想外の連続で、終われば即倒れ込みたいくらいの疲労感と共にステージを降りる。そういうときに限って明日の仕事は朝早かったりもする。
昼間は営業マン、外回りの仕事が終わって家に帰れば、嫁。シンガーソングライターだけど正直ギターも歌も上手くない。
そう、私はまだ音楽を始めて2年目のぺーぺーなのだ。
既婚者でアラサーという、世間的には"そろそろ落ち着けよ"と言われても仕方のないような状況で、"駆け出しのシンガーソングライターです!芸歴2年目まだまだこれからだけど頑張ります!"と上手くもない歌を披露している私は、たぶん、どの角度から見ても"夢を見続けている可笑しい28歳"なのだということは、一応理解している。
だけど、2年前までギターを触ったこともなかった人間が、何度も何度も心をポキポキポキポキポキポキポキポキ折られながら仕事と家事の合間を縫って曲を作り、ステージで歌い続けたいま、シンガーソングライターとしてミスiDのセミファイナリストになっているなんて、本当に1ミリも想像してなかった。
自分次第で、人生は時として想像を超える出来事が起こるってこと。すごく不思議で、嬉しくて、考える度に頭がクラクラする。
そんな私の成長を見ていた50代くらいのサラリーマンのおじさんがこないだ、『なんだか勇気をもらえた!』と言ってくれた。
下手くそなのにステージに立っていいのかな、と根っこではずーっと悩んでいた私が、あぁ、案外そういう問題ではないのかもしれないと、むしろ逆に勇気をもらった一言だった。
いい歳だろうと、いい大人だろうと、そんなの関係ないのだ。
いや、むしろ、"もういい歳なのに"まだまだ進化しようとしているアラサーOLって、超貪欲でめちゃカッコいいやんけ。と開き直ることにした。
もう、日本のエイジズムとタイマンを張るしかねぇ!
と、これは流石に言い過ぎかも知れないが、、、とにかく、勇気をもらった、と言ってくれたオジサンのように、私が不器用ながら進み続ける様を見て、いつかの私のようにくすぶっているどこかの誰かが一歩踏み出すきっかけになれたら、これ以上嬉しいことはない。と本気でおもう。
いくつになっても、どんな肩書きが増えても、私は私を諦めない。
年齢という呪縛に嘆く女の子たちへ。
年齢という呪縛すらもはや諦めたオッサンたちへ。
たくさんの、たくさんの、自分の人生を生きる方法を忘れかけている人たちに。
28歳OLミュージシャンBBAが、クッソしょーーーーーもないエイジズムをぶっ壊して、ずんずん生きていく様を見せてあげるよ。
後ろ指をさされても、笑われても。
恥ずかしいことは、きっとかっこいいんだと、言い聞かせながら、私は私の道を往く。