猫背歩行

普段言いたくても言えないことを、色々。

大阪は金魚鉢、東京はアートアクアリウム、身の程を知れ

街というのは入れ物らしい、言い得て妙。

 

 

要は金魚鉢なのである。中身は住んでいる私たちですら気付かないくらい、時代とともにちょっとずつ様相を変えていく。暮らしも仕事もカルチャーも、いつもちょっとずつ変わっていくもんね。

気づかないうちに私たちが勝手に作っている金魚鉢。それが街。

 

 

とりあえず私は大阪という金魚鉢で、もう30年も生活している。

正直、めちゃめちゃおもろい。

私は大阪が好きだ。

こないだ、目の前のギャルが道頓堀の中心で小銭をぶちまける場面に遭遇してしまった。どうしよう、とオロオロしている私をよそに、すぐさま見知らぬ超優しいギャルが大丈夫〜⁉︎と近寄ってきたのだけど、親切ギャルのネイルがあまりにも長く、デコられ、そして尖りすぎていて「全然小銭掴まれへんやんけ、バリおもろいねんけど、やばいバリおもろい〜」と爆笑しながら一円も拾えない小銭拾いを手伝っていた。

 

 

大阪はザックリ、「キタ」と言われる梅田を中心とするエリアと「ミナミ」と呼ばれる難波・心斎橋周辺エリアに分けられる。

 

キタは最先端を気取ったファッションビルや百貨店が立ち並ぶ。大阪初進出!みたいなファッションブランドやスイーツ店も多くて、ちょっと高級志向でちょっと洒落てて、流行はここで買えますよと言わんばかりのドヤ顔で突っ立っている。

 

一方のミナミはといえば、毎週商店街でパチモンのブランドバッグの叩き売りをしている。絶対に絶対にパチモンと一目で分かるくらいのパチモンなのに、人だかりが出来ていたりする。ありえない。

ギャル向けブランドがわんさか入っている、いにしえのギャル聖地"OPA"というファッションビルも未だ健在だ。結構デカい。(私はB2のフードコートによく出没する)

こないだミナミの人混みを歩いていたら、後ろから聞こえてきた女性二人組のトークが面白すぎて「もしかして....海原やすよともこ...⁉︎」と振り返ったらマジで普通のオバチャン二人組であった。素人のレベルが高すぎる。あとミナミにはアメ村があって、黒人がそこらじゅうにいて意味不明なパーカーを高値で売りつけてくる。

 

ここまで言えばもうお気づきだろうが、私が好きなのはミナミだ。効率よく買い物を済ませたいとか利便性でキタに行くことはあるけど、ミナミのテンションこそTHE大阪である。

時間があったら、曲作りに煮詰まったら、私はアメ村を散歩する。ぶっちゃけ休日のキタ(梅田)は人が多すぎて散歩とかできん。食べ歩きたいなァとふらっと入ったパン屋ですら物価が東京を気取っていて気が引ける、たけえ。

 

その点ミナミはまだ人が少ないし、なんかジャージで歩いても大丈夫な気すらしてしまう。

心斎橋から難波へ抜ける商店街もよくよく散策すれば古い喫茶から新しいアパレルブランドまで、新旧ごちゃごちゃで見応えがあって面白い。

(ちなみにレトロ感が映えると今若者に人気の「喫茶アメリカン」も難波にある)

 

あと私はアメ村が大好きだ。きったねぇ三角公園があって、意味わかんない輸入雑貨店とか、黒魔術専門店とか、見つけにくいけどいろんな店があって、そして何よりいろんなファッションの人が当たり前みたいに好きな格好で生きていて、ああ私も私でいいんだなぁと、なんだか素直に息ができる場所である。

 

 

東京の背中を必死のパッチで追いかけるキタも別に嫌いじゃない。実際便利だし。

でもここは金魚鉢。大阪という金魚鉢。東京のような日本一立派なアクアリウムをわざわざ真似なくたっていい。

 

おもしろオバさんも、ゼロ距離親切ギャルの爆笑も、パチモン祭りも、みんな許される限りの自由の中でふざけながら楽しく生きている。

地方の皆さん、首都東京にお住まいの皆さん、ぜひ一度、大阪に遊びにいらしてください。おもろいで。そして、できたら、うまく日程を合わせてもろて、私のライブにも遊びに来てな。

 

 

 

 

(あ、新世界の串カツとか別に行かなくていいです、観光客向けすぎる、あれはレプリカ大阪なので)

以上!